計数機・パーツカウンターとは/パーツカウンターの精度、本当に理解していますか?「識別精度」と「制御精度」の真実

計数機・パーツカウンターとは/パーツカウンターの精度、本当に理解していますか?「識別精度」と「制御精度」の真実

カウント作業虫めがねをつかいますか
カウント作業虫めがねをつかいますか?

「カタログ値99.9%なのに、実際は過数が多い」その理由を徹底解説

CCDカメラ式画像処理型パーツカウンターVC-200型
CCDカメラ式画像処理型パーツカウンターVC-200型
2方向ミラー分光画像処理型カメラ式パーツカウンター

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「このパーツカウンター、精度99.8%です」
現場担当からこう説明を受けたとき、あなたは何を想像するでしょうか?多くの方は「1000個中998個をカウント?」と理解しますが、これは正確ではありません。
計数機・パーツカウンターの精度には、**「識別精度」と「制御精度」**という2つの異なる概念があります。そして、この違いを理解しないまま導入すると、「カタログ値は高精度なのに、実際の現場では過数が頻発する」という事態に陥ります。
松楽産業は60年以上にわたりフィーダー式計量機を製造してきました。この記事では、その豊富な経験から得られた知見をもとに、2つの精度概念を分かりやすく解説します。
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計数機・パーツカウンターの精度を構成する2つの要素
総合計数精度は、以下の2つの掛け算で決まります:
総合計数精度 = 識別精度 × 制御精度
どちらか一方が低いと、最終的な精度は下がります。カタログに記載されている「99.8%」は識別精度を指すことが多く、実運用での総合精度とは異なるのです。

識別精度:カメラとAIの「見る力」

制御精度と識別精度との相関図
制御精度と識別精度との相関図

識別精度とは、CCDカメラとAIが落下するパーツを「1個、2個、3個…」と正確にカウントする能力です。
空中で何が起きているか
振動フィーダーから落下するパーツを、カメラは1秒間に12,000回(Gen型は33,000回)のシャッタースピードで撮影します。このシルエット画像をAIが解析し、「これは1個」「これは2個重なっている」と瞬時に判断します。

落下シルエット画像の例
落下シルエット画像の例

AI学習による精度向上
100〜500個のパーツを流すことで、AIは以下を学習します:
• パーツが横向き・縦向きで落ちた場合の見え方
• 2個が重なった場合の特徴
• 角度による形状の変化
学習結果は「ヒストグラム」で可視化され、カウント前に精度を予測できます。

山の左麓が乱雑な学習ヒストグラム:見る角度で小さく見えるのか、ゴミが多いのか?
山の左麓が乱雑な学習ヒストグラム:見る角度で小さく見えるのか、ゴミが多いのか?

識別精度の限界
どれほど高性能でも、3個以上が完全に重なって落下したり、半透明パーツの輪郭が不明瞭な場合は誤認識の可能性があります。しかし、最新のカメラ式では識別精度99.5〜99.93%を達成しています。
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制御精度:フィーダーの「流す力」
制御精度とは、振動フィーダーがパーツを安定した速度と量で供給できる能力です。識別精度と同じくらい重要ですが、見落とされがちな要素です。
車の運転に例えると
制御精度は、パーツの動きを車の運転に例えるとわかりやすくなります。

カウンター制御の方法は
カウンター制御の方法は?

「ブレーキがない」という致命的な制約
振動フィーダーには物理的なブレーキがありません。制御方法は「電圧を下げて振動を弱める」だけです。
目標1000個、現在997個 → あと3個必要
1. 振動を弱める
2. しかし慣性でパーツは止まらない
3. 3個のはずが5個、10個落ちる
4. オーバーカウント発生
→ 制御精度の低下
この慣性の影響により、最終補給段階で過数が発生しやすくなります。
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パーツの材質で変わる制御難易度
制御精度は、パーツの材質によって劇的に変化します。これが松楽産業の60年の経験から得られた最も重要な知見です。
材質別の制御難易度

材質別の制御難易度
材質別の制御難易度

振動の「直線性」という概念
金属パーツ(制御しやすい):
電圧100% → 速度100%
電圧 50% → 速度 50%
電圧 10% → 速度 10%
予測通りに動く → 制御精度が高い
ゴム製品(制御が難しい):
電圧100% → 速度100%
電圧 50% → 速度 20%
電圧 10% → 速度 0%(停止)
極端な非線形 → 制御精度が低い
ゴム製品は振動を吸収し、さらに付着性があるため、フィーダー表面に張り付いて突然離れます。これが制御を困難にする主因です。

フィーダー上のゴムキャップ、柔らかすぎて流れの制御が難しい
フィーダー上のゴムキャップ、柔らかすぎて流れの制御が難しい

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総合精度が下がるメカニズム
ケーススタディ:なぜ99.93%が99.3%になるのか
設定: 1000個カウント
状況: 997個カウント済み、残り3個

【問題発生】
・ゴム製品が付着して一度に10個落下
・結果: 1007個(7個の過数)

識別精度: 99.93%(カメラは正確に認識)
制御精度: 低い(最終制御で失敗)
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総合精度: 99.3%に低下

付着しやすいゴム製品
付着しやすいゴム製品

これが、カタログ値と実運用での精度の差が生まれる理由です。
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99.8%精度の本当の意味
<bよくある誤解
「500個を1000回カウントしたら、998回は正確で、残り2回だけ501個になる」
これは間違いです。
正しい理解
誤解:500個を1000回カウントしたら、998回が正確で2回だけ501個になる
正解:1回のカウント作業での精度を示します。実際には501個が5~6回発生する可能性があります。
実際の分布
1000個カウントを1000回実施した場合:
• 1000個(ちょうど): 約980回(98%)
• 1001個: 約15回(1.5%)
• 1002個: 約4回(0.4%)
• 1003個以上: 約1回(0.1%)
マイナス(欠品)はほぼ発生しませんが、プラス(過数)は一定確率で発生します。これが制御精度の限界です。
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機種による精度特性の違い
VC-200型コンベヤ搭載型
精度プロファイル:
• 識別精度: 99.93%
• 制御精度: 中程度
• 総合精度: 99.7〜99.8%
適用: 金属部品、硬質樹脂、高速処理が必要な場合

コンベヤ搭載VC-200型
コンベヤ搭載VC-200型

VST-4型(チャンネル分散方式)
精度プロファイル:
• 識別精度: 99.93%(高い)
• 制御精度: 非常に高い
• 総合精度: 99.5〜99.7%
適用: ゴム製品、軟質樹脂、付着性のあるパーツ
4つのチャンネルで分散制御することで、最終補給時の過数発生を最小限に抑えます。

VSTの丘上フィーダーとコンベヤ上のチャンネル構造
VSTの丘上フィーダーとコンベヤ上のチャンネル構造

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導入を成功させる3つのポイント
1. 実機テストは必須
カタログスペックだけでは、あなたのパーツでの精度は分かりません。
テストで確認すべき項目:
• 識別精度(学習ヒストグラム)
• 制御精度(10倍量での連続テスト)
• 総合精度(実運用を想定した測定)
2. パーツ特性の正確な把握
以下の情報を事前に整理してください:
• 材質・寸法・重量
• 付着性・油分の有無
• 現在の作業での問題点
• 希望カウント数と頻度
3.まとめ:精度理解の本質
計数機・パーツカウンターの精度は、単一の数値では表せません。
識別精度 = カメラとAIの「見る力」

制御精度 = フィーダーの「流す力」

総合精度 = 両方の掛け算
特に制御精度は、パーツの材質で大きく変わります。ゴム製品や軟質樹脂は、振動の非線形性と付着性により制御が困難です。
100%精度が実現できない理由は明確です:
1. カメラとAIの認識限界
2. 振動フィーダーにブレーキがない
3. 慣性の法則による過剰供給
これらの物理的制約により、99.5%以上の精度が現実的な目標となります。
松楽産業は60年以上の経験から、パーツごとの最適な機種選定とカスタマイズを提案できます。カタログ値だけでなく、実運用での総合精度を重視した選定が、導入成功の鍵です。
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計数機・パーツカウンターの導入を検討される際は、自社の課題と要件を明確にし、最適な機種選定を行うことが成功の鍵となります。専門メーカーへの相談やサンプルテストを通じて、実際の効果を確認することをお勧めします。

株式会社松楽産業では、AI搭載カメラ式パーツカウンターをはじめ、お客様の製造現場に最適な計数ソリューションを提供しています。サンプルテストも承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

私たちは「人ができることは人で、機械ができることは機械で」を信念に、お客様の現場に最適なソリューションを提供しています。計数機。パーツカウンターについてもっと知りたい方は、ぜひ松楽産業にお問い合わせください!

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